もくまおうです!
今回は、清原達郎さんの初の書籍、「わが投資術 市場は誰に微笑むか」を紹介します。
結論、めちゃくちゃ面白かったです!!
かつて長者番付1位にまでなった清原さんが、ここまで投資テクニックをありのまま公開するとは思ってませんでした。
そんな「わが投資術 市場は誰に微笑むか」から学んだことを3点紹介すると、
①バイアスを味方にする
②買うのは割安小型株、注目はネットキャッシュ比率
③何が正しいかは自分の目で確かめて自分で決める
になります。
バイアスを味方にする
清原さんは「バイアス」とても大事にしているそうです。
なぜなら、
『大多数の投資家の判断に強いバイアスがかかっていれば投資のチャンス』だから。
本では、その例をたくさん紹介していますが、ここではJALについて触れます。
JALは1度倒産しましたが、再上場の際、
- 民主党政権下で会社再建の成功例になっていたので自民党の代議士はJALの悪口ばかり
- 雑誌にはJALを批判する記事が多数出ていた
などを理由に、旧JAL株や債券で大損した機関投資家は正しく評価していませんでした。
しかし、実際はピカピカのバランスシートだったのです。
機関投資家はANAさえ持ってればいいというスタンスでした。
しかし、PERで見てもネットキャッシュ比率でも見てもJALの方が圧倒的に割安だったのです。
清原さんたちはIPOで申し込みましたが、もらえる株数はわずか・・・
上場日にも人気のないままだったので、上場後数日後の間に一気に買い集めました。
その数か月後、JALの割安さが市場で認識され株価は急上昇し、大きなリターンを得たそうです。
まさに投資は心理。
常識を疑うことでチャンスが生まれるんですね!
買うのは割安小型株、注目はネットキャッシュ比率
この本では、清原さんの投資の考え方をありのまま公開しています。
清原さんは基本買うのは割安小型株です。
なぜなら、割安小型株は株式市場での参加者が少なく、「何が株価に織り込まれているか」が比較的分かりやすいからです。
数あるテクニックの中で「ネットキャッシュ比率に注目する」という点が面白かったので紹介します。
ネットキャッシュ比率
ネットキャッシュとは、会社が赤字になろうがなるまいが同じ値段で売れる資産がどれほどあるか、それに会社が持っている現金を足して全負債を差し引いた数字です。
清原さんの定義では、
ネットキャッシュ比率=(流動資産+投資有価証券×70%-負債/時価総額)
となります。
ネットキャッシュ比率が1だと「会社がただで買えるほど割安」になります。
※流動資産とは、1年以内に現金化できる流動性の高い資産(現金、受取手形、売掛金、未収入金など)
※投資有価証券とは、子会社の株式や満期まで1年以上ある長期の債券など
このネットキャッシュについては、東洋経済オンラインの「上位2社は1兆円超「金持ち企業」ランキング300社」で、金持ち企業1位の任天堂の2023年3月期の有価証券報告書で説明させていただきます。(リンク)
任天堂のネットキャッシュは、
- 流動資産は約2兆3,145億円
- 投資有価証券は約2,762億円
- 負債は合計で約5878億円
になります。
任天堂の時価総額は10兆7,258億円(2024年3月28日現在)です。
これを清原さんの定義のネットキャッシュ比率で計算すると、任天堂のような金持ち企業でも、ネットキャッシュ比率1には全く及びません。
ご存じの通り、任天堂は人気株なので、時価総額がかなり高いです。
実は、清原さんが最後にスクリーニングをやったときは、ネットキャッシュ比率が1以上の企業は、大型株はゼロ、中型株は11社、小型株は309社だったそうです。
大型株を買うよりTOPIX
大型株は小型株とは違い極端に難しくなるそうです。
なぜなら、市場の参加者が増えれば増えるほど何が相場に織り込まれているかが分からなくなるからです。
先ほどのネットキャッシュ比率でも大型株はゼロでしたね!
そういった点から、「個人投資家が日本の大型株に分散投資したいならTOPIXのETFが一番合理的」だとしています。
何が正しいかは自分の目で確かめて自分で決める
本では清原さんの生い立ちを紹介しています。
中でも父に関してのエピソードが印象的でした。
清原さんの父は、清原さんと兄を大学に入れようと節約してお金を貯めることが人生の目的でした。
清原さんが小学校の時成績が算数と理科で5、後は全部2。そのことに対して、算数と理科の成績がよかったことをすごく喜んでいたそうです。
そんな父を清原さんは尊敬していました。
しかし、小学校で教師から「君が尊敬しているのは誰だ?」と聞かれ「父です」と答えたところ、
「もっと誰かほかにいないの? 歴史上の人物とかさあ」
と言われたそうです。
この一件から、
「何が正しいかは自分の目で確かめて自分で決める。教師の言うことが正しいかどうかも自分が判断する。他人の行ったことを安易に信じない」
と思うようにしたそうです。
投資の世界ではたくさんの情報が飛び交っていますが、すべてが正しいわけではありません。
正しい情報を見極めることが重要だと感じました。
まとめ、書評
以上、清原達郎さんの「わが投資術 市場は誰に微笑むか」から学んだことを、
①バイアスを味方にする
②買うのは割安小型株、注目はネットキャッシュ比率
③何が正しいかは自分の目で確かめて自分で決める
の3点紹介しました。
非常に中身が濃い本です。ほんの一部しか紹介できませんでしたが、個別株の投資本でこれ以上の本に今後出会えるか?と思うぐらいの名著です。
この本のエピローグがとても素敵でした。
人間には快適に暮らしていくだけの収入が必要です。
しかし、それ以上の幸福感を得るためには「なんでもいいから他人の役に立っている」という実感が必要なのではないでしょうか?
その点、私は幸福でした。多くの顧客とともに25年間を歩めたのですから。
引用:わが投資術 市場は誰に微笑むか(エピローグ 引退)
僕がこのブログをやる意味と全く同じです!!
清原さんの言葉、胸に突き刺さりました。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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