もくまおうです!
3月1日に映画「52ヘルツのクジラたち」が公開されました。
映画公開に合わせて、小説版「52ヘルツのクジラたち」の名言を紹介します。
※ネタバレはしていません!
小説版「52ヘルツのクジラたち」の名言から学んだことを3点紹介すると、
①もう、誰とも関わりたくない。そう願ってそれを叶えたのに、温もりを求めている。
②あたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。
③あんたがその魂の番に出会うまで、わたしが守るよ。
になります。
もう、誰とも関わりたくない。そう願ってそれを叶えたのに、温もりを求めている。
主人公の貴瑚(きこ)は、壮絶な過去を経験しています。
その経験をすべて忘れるために、大分の田舎町に引っ越しました。
東京のマンションを引き払い、携帯電話も解約。友人や仕事の同僚にも黙って、ひとり大分に越してきました。
唯一知っているのは実母だけです。
しかし、実母には過去に虐待、ネグレクトをされた経験があり、もはや縁が切れた状態です。
それだけではありません。
貴瑚は自分のせいで、大事な人たちを苦しめてしまったという思いに駆られていました。
すべてを捨ててやっと1人になれたと思いながらも、未だ人の温もりを求めていることに気づきます。
そう思った時、貴瑚が感じた言葉が、
「もう、誰とも関わりたくない。そう願ってそれを叶えたのに、温もりを求めている」
引用:52ヘルツのクジラたち(1.最果ての町に雨)
という言葉です。
友人の美晴のことを思い出す
その時、友人の美晴(みはる)の声が頭をよぎります。
美晴はこう言っていました。
『貴瑚はひとの温もりがないと生きていかない弱い生き物だよ。寂しさを知る人間は、寂しさを知ってるからこそ、失うことに怯えるものだから』
引用:52ヘルツのクジラたち(1.最果ての町に雨)
美晴は、かつて貴瑚が苦しんでくれている時に、救ってくれた恩人の1人です。
その美晴との関わりも断ってしまったからこそ、貴瑚は気分が沈んでしまいます。
どんなに過去に苦しい経験をしても、人は決して1人では生きていけないと痛感しました。
あたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。
貴瑚は引っ越した大分の田舎町でとある少年に出会います。
その少年は話すことができません。
そして、明らかに自分と同じ、親から愛情を注がれていないことに気づきます。
実際、この少年は「ムシ」と呼ばれていました。
貴瑚はこの「ムシ」と呼ばれる少年を、「52」と呼ぶことにしました。
52ヘルツのクジラとは?
ここで、この小説の核でもある「52ヘルツのクジラ」について引用します。
52ヘルツのクジラ。世界で一番孤独だと言われているクジラ。その声は広大な海で確かに響いているのに、受け止める仲間はどこにもいない。誰にも届かない歌声をあげ続けているクジラは存在こそ発見されているけれど、実際の姿はいまも確認されていないという。
引用:52ヘルツのクジラたち(2.夜空に溶ける声)
52ヘルツはクジラにとって高い周波数です。
つまり、他の仲間と周波数が違うから、仲間と出会うことができません。
まさに、貴瑚と少年「52」は親から愛情を注がれておらず、まさに「52ヘルツのクジラたち」なのです。
貴瑚は以前、ルームメイトからこの52ヘルツのクジラの鳴き声が入っているMP3プレーヤーをもらい、寂しくて死にたいと思っていた時にいつも聞いていました。(※映画では設定が変わっています)
そのMP3プレーヤーを少年「52」にも聞かせます。
そして、
「あたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
引用:52ヘルツのクジラたち(2.夜空に溶ける声)
という言葉を届けます。
あんたがその魂の番に出会うまで、わたしが守るよ。
この小説には、何度も「魂の番(つがい)」という言葉が出てきます。
魂の番とは、「愛を注ぎ注がれる存在」のことです。
少年「52」は物語の後半、自分の現状を知り苦しみます。
諦めきった表情に気づいた貴瑚は、「52」を追いかけます。
たったひとりの魂の番のようなひとが必ずいる
貴瑚自身、かつて「魂の番」となる人に救ってもらいました。
その経験から、「たったひとりの魂の番のようなひとが必ずいる」こと、
そして、
「その魂の番に出会うまで、わたしが守るよ」
引用:52ヘルツのクジラたち(7.最果てでの出会い)
と少年「52」に言います。
貴瑚は、大切な人物を救えなかったことを後悔しています。
今度こそ「52ヘルツのクジラ」である少年「52」を救うという決意が感じられます。
まとめ、書評
小説版「52ヘルツのクジラたち」の名言から学んだことを、
①「もう、誰とも関わりたくない。そう願ってそれを叶えたのに、温もりを求めている」
②「あたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
③「あんたがその魂の番に出会うまで、わたしが守るよ」
の3点紹介しました。
僕には子供が2人います。この小説を読んで、
- 自分自身が貴瑚の母親や「52」の母親のようになっていないか?
- 子供たちは苦しんでいないか? 苦しんでいたら、その心の声に気づくことができるか?
と思うようになりました。
子供だけには限らず、この小説を読んでから、周りに「52ヘルツのクジラ」のような孤独を抱えていないかと考えるようにもなりました。
孤独で苦しんでいる人はたくさんいるはずです。
孤独で苦しんでいる人たちへの希望の小説だと僕は思います。
小説でも、映画でも、多くの方が「52ヘルツのクジラたち」に触れてほしいと願っております。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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