内部告発の裏側 山崎元著「がんになって分かったお金と人生の本質」から学んだこと3点紹介

もくまおうです!

今週も先週に引き続き山崎元さん(以下ヤマゲンさん)の本を紹介します。

※先週は、「経済評論家の父から息子への手紙 」を紹介しました!

今回紹介するのは、「がんになって分かったお金と人生の本質」です。

癌との戦う中で、ヤマゲンさんが感じた「伝えたいこと」がありのまま紹介されています。

「がんになって分かったお金と人生の本質」から学んだことを3点紹介すると、

①がん保険はやっぱりいらなかった

②自分が会いたい人だけに会う

③「お金より大事なもの」にどうやって気づくか

になります。

目次

がん保険はやっぱりいらなかった

ヤマゲンさんは、がん保険に入っておらず、2022年8月24日に食道癌と診断されました。

9月上旬から抗癌剤治療で2回入院、その後10月27日に手術を受けて13日後に退院。この時点で医療費として直接支払ったお金は約235万円です。

ただし、この中の約160万円は、入院一日あたり4万円のシャワー付き個室を選んだためでした。

※ご自身の仕事(原稿書きやオンライン会議など)を考え個室にしたそうです。

残る費用約75万円は、高額医療費制度の上限が適用され、実際ヤマゲンさんが払った医療費は約14万円だけでした。

この種の補填制度は、多くの健康保険組合が備えているようです。(ヤマゲンさんは東京証券業健康保険組合の加入者)

国民健康保険ではなく、健康保険組合に加入している方は、それぞれ設定が違うため、調べておく必要があります。

それにしても、日本の健康保険制度は、これほど手厚いとは・・

ヤマゲンさんはこう述べています。

従って、仮に筆者が30代、40代の自分に戻って、将来癌にかかるかどうか分からない時点でがん保険の加入について検討するなら、「がん保険には入らない」という結論を、自信をもって出すはずだ。なぜなら、がん保険に入ることが確立を考えると大幅に損である一方、万一癌に患っても自分の手元のお金で十分対処できるからだ。この意思決定に不安はない。

引用:がんになって分かったお金と人生の本質(第2章 がん保険はやっぱり要らなかった)

安心ではなく必要性で判断する

ヤマゲンさんは、保険に加入する際の必要条件を「滅多に起こらないが、起こった場合の損失が破滅的に大きい」ものとしています。

例えば、

  • 自動車事故を引き起こした際の補填に備える自賠責保険
  • 延焼の責任を問われることもある火災に備える火災保険

です。

大事なのは、安心のような「感情によって」ではなく、保険の必要性を冷静に判断することになります。

僕の場合はローンがあるので、死亡保険も加入しています。

自分が会いたい人だけに会う

ヤマゲンさんは手術には成功するも、癌の再発が見つかりました。

その時、「持ち時間」と「体力」の制約が現実のものとなり、

  • 人間関係はどうあるべきなのか?
  • 誰に対して時間を使うべきなのか?

と考えました。この問題の結論としてこのように述べています。

結論から言うと、自分から頼んで時間をもらい、意見なりに情報なりが欲しいと思う相手を、自分が選んで時間に使う、ということに集約される。それ以外にない。

そうでない相手に時間を使うのは、癌でない平時であっても、本来は時間の無駄と考えるべきなのだ。

引用:がんになって分かったお金と人生の本質(第3章 癌になって分かった、どうでもいいことと大切なこと)

ヤマゲンさんは長年意志決定の際、

  • サンクコストに拘るな
  • 機会損失を見落とすな

を習慣にしていました。

この習慣があるからこそ、

「昔話をしたがる人物には会いたいという気が起きない」

「時間が短いとはいえこれから何かをしたりする参考になるアイデアを持った人物に会いたい」

と思っていたそうです。

よく投資の世界では「サンクコストに拘るな」と言われています。それは人間関係でも同じなんだと考えさせられます。

「お金より大事なもの」にどうやって気づくか

『トウシル』(楽天証券の投資情報ウェブサイト)でヤマゲンさん当てのQ&Aの質問を募集しました。

質問の中に、

「世の中には、お金より大事なものがあるのは明らかだが、具体的にどうやったらそれに気づくことができるのだ?」

といった内容が届きました。

ヤマゲンさんは、考えた結果気づく手段は「怒り」だったそうです。

この回答には心底驚きました。

なぜ「怒り」なのでしょうか?

お金の損得はいったん意識に上ると、そこを離れることが難しいし、行動に当たって意思決定するときに直ちにその価値観が起動される厄介な性質を持っています。これを払拭できるのは、ふつふつと湧き上がる「怒り」の感情だけです。切り替えのスイッチには、これを使うしかない。

「こんなことが許されてたまるか」、「私のことを何だと思っているんだ」、「俺のことをなめるなよ」、「やっていられない!」といった、時には野卑な生の感情です。

「怒り」が「損得」を上回った時に、人は、損得を離れて、損得以上に大切なものに目を向けることができます。

引用:がんになって分かったお金と人生の本質(第5章 お金より大事なものにどうやって気づくか)

ヤマゲンさんの過去の「怒り」

ヤマゲンさんは30代のはじめ、住友信託銀行に勤めていました。

その時、会社及び信託銀行業界の、主にファンドトラストによる顧客間の利益の大規模な付け替えに対して内部告発をしました。

金庫番ともいうべき信託銀行が、顧客の利益を大規模に付け替えする泥棒のような行為をしていたことに、お金より大切な「怒り」に気づくきっかけになりました。

最終的に、当時の社旗党の議員さんに国会で質問させるところまで持っていきましたが失敗に終わりました。

※当時の大蔵省銀行局長と自民党の有力政治家の間で、問題が大きすぎると判断して握りつぶしたと後からジャーナリストの友人に聞いたそうです。

この経験からも、「怒り」は、損得を忘れされて、考えをリセットする唯一の手段だとヤマゲンさんは言います。

怒りを「信用・共感・プライド」に変換する

ただし「怒り」は、自分の精神のコントロールを失っているため、判断を間違えやすいため注意が必要です。

「怒り」はそのままにせず、「信用」や「共感」、「プライド」あたりまで変換しておかないと、安心できないし、真の正解にたどり着いたとは言えないとヤマゲンさんは言います。

例えば近年のX(旧:Twitter)。

怒りをただぶつけ罵り合う残念な人を見かけます。

これだけではただの「怒り」になってしまいますよね。

ただ「怒る」のではなく、正しく「怒る」

たとえ、お金で損得を考えると損ではあっても、

  • 自分が持っている信用が「大切」
  • 「共感」してもらえる内容
  • 「プライドを守る」必要がある内容

となれば、正しく「怒る」必要があります。

まとめ、書評

以上、「がんになって分かったお金と人生の本質」から学んだことを

①がん保険はやっぱりいらなかった

②自分が会いたい人だけに会う

③「お金より大事なもの」にどうやって気づくか

3点紹介しました。

最終章には、癌の記・裏日記として、なんと亡くなる直前までの日記が公開されています。

ヤマゲンさんのモットーである

  • 正しくて
  • できれば面白いことを
  • たくさんの人に伝えたい

という思いがひしひしと伝わりました。

前回紹介した、「経済評論家の父から息子への手紙」と併せて読んでいただきたいです。

今では、尊敬する人は?と聞かれたら、迷わず

「山崎元さんです!」

と迷わず言えます。

元々大好きな経済評論家でしたが、この2冊の影響がとても大きいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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