もくまおうです。
今年もよろしくお願いいたします!
2024年は、米国を中心に株式投資が好調で、資産を増やした方も多いと思います。
資産が増えると、FIREやサイドFIREを考える方もいるのではないでしょうか?
※FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、資産運用で生活費をある程度確保し、でき早期に仕事をリタイアするライフスタイル。サイドFIREは、完全にリタイアはせず、副業などの勤労収入と資産運用を合わせて生活するライフスタイルです。
そこで、今回は元朝日新聞記者、アフロでおなじみ稲垣えみ子さんの「魂の退社 会社を辞めるということ。」を紹介します。
かつて稲垣さんは、欲望全開の浪費家でした。
しかし、人生の折り返し地点に立ち、リアルな老後をこのように考えたそうです。
このままの状態でズルズルぼんやりと人生を折り返してしまったら、相当ヤバいことになるんじゃないか。いくら今を贅沢に楽しんでいても、いや贅沢に楽しんでいるからこそ、将来はちょっとその贅沢が楽しめなくなったからといって勝手に惨めな思いに捕らわれ、情けない気持ちの持って行き場がなく、国が悪いとか、社会が悪いとか、今の若い奴らはどうしようもないとか被害者意識いっぱいになり、年を重ねるほどに人相の悪いばあさんになって嫌われ孤独し誰にも看取られることなく死んでいくに違いありません!
これはゼッタイに何とかしなければならない。
人生の折り返し地点を前に、そう危機感を抱いたわけです。
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その1 それは安易な発言から始まった)
稲垣さんはなぜ50歳で早期退職しようと思ったのか?
退職後どのような問題に直面したり、どういう考え方が芽生えたのかを面白く紹介しています。
「魂の退社ー会社を辞めるということ。」から学んだことを3点紹介すると、
①転機はうどん県
②世の中は「会社で回っている」
③会社依存度を下げる
の3点になります。
転機はうどん県
稲垣さんは38歳のとき、大阪版デスクから香川県の高松総局デスクへの異動を命じられます。
地方都市では、何年も金満生活を送っていた稲垣さんでも「買いたい」と思うものはそれほど多くなく、強制的に「金満生活による幸福の追求」を諦めるしかありませんでした。
僕も、地方に単身赴任をして7年目になります。この気持ちはとても分かります。
「飛ばした」人間に愚痴りたくなるんですよね。こんな場所に飛ばしやがってぇ・・・って(笑)!
しかし、稲垣さんは僕と全然違い、都会とは違う楽しみを見つけ、人生を変えることになります。
まず通い始めたのが、農産物の直売所。
コンテナに入った野菜が豪快に並ぶ。スーパーに並ぶ行儀のいいお野菜とは違い、極小サイズから特大サイズまで、さらに農家のおばちゃんが作った寿司屋らこんにゃくやらぼたもちやら脈略なく並ぶ。
ワイルドである。面白い。そして何よりこんな場所は都会ではありえないというのが嬉しかった。
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その1 それは安易な発言から始まった)
稲垣さんは、直売所の魅力は「安い」ことだけではなく、「ないもの」がたくさんあることに気づきます。
例えば大根。
大根はスーパーなら年中買えますが、直売所では大根は寒くならないと出てきません。
大根ないなー、まだかなーと思っていると、ある季節から突然売り場の棚はどこもかしこもでっかい大根だらけになる。
ようやく、ようやく・・・・
キターーーーーッと思う瞬間である。
引用:魂の退社ー会社を辞めるということ。(その1 それは安易な発言から始まった)
いつでも何でもある現代において、もう「ある」ことを贅沢だと思う人はほとんどいないと思います。
稲垣さんは直売所が、「ない」ことの方が「ある」ことよりむしろ豊かなんじゃないかという、それまでまったく考えたこともない発想の転換を迫る場所となりました。
本では、他にも「誰も知らない山歩き」にハマったり、お遍路参りする人たちとの交流など紹介しています。
実は香川県。
「うどん消費量日本一」だけではなく「貯蓄高日本一」なんだそうです!
香川県では、素うどんは1杯100円代。奮発して天ぷらをのっけても500円を超えることはまずありません。
香川県の人は、都会では当たり前の、ランチに1000円以上取る店には行きたがらない。なぜなら、彼らが必ず言うセリフが「それやったらうどん〇〇杯食べられる」。つまり、うどん1杯というのが、彼らがものの値段を考える際の「単位」となっているのだ。「円」ではなく「うどん」。
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その1 それは安易な発言から始まった)
また、テーマパークのような入場料に数千円も取るような施設も、香川県民は、「入場料だけでうどんがウン何倍食べられる」と考えるそうです。
これは決してケチだからではありません。
我慢してテーマパークに行かないわけでもありません。
納得のいかないお金は払いたくない。その方が心地よい。
このように香川県民は考えているのです。
稲垣さんは、高松総局デスクへの異動をきっかけに、「お金を使わなくてもハッピーなライフスタイル」を身につけることができました。
世の中は「会社で回っている」
稲垣さんは50歳で退職しますが、退職早々困難な問題に直面します。
それは、不動産屋でアパートを契約するとき。
不動産屋の兄ちゃんに不審に思われます。
無職の人間が引っ越すとしたら、家賃を払えなくなったとか、トラブルを起こしたとか、そんなよからぬ理由があると考えていたのでしょう。
保証人をつける際も、65歳以上の人をつけることができず、稲垣さんの両親にお願いすることもできません。
保証人がつけられない場合は、保証会社が保証人がわりになってくれますが、毎月家賃の半額も支払う必要があります。
稲垣さんはこのように感じます。
なるほどそういうことだったのか。世の中は「会社」で回っているのだ。会社に勤めてさえいれば一人前の社会人。なぜなら、会社はきちんと毎月一定額の給料を払ってくれる。家賃のとりっぱぐれの可能性は大幅に低くなる。
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その4 日本ってば「会社社会」だった!)
カードも作れない
不動産だけではありません。クレジットカードも、無職の人間はカードの入会審査に通ることが非常に難しいことを知ります。
そもそもカードとは「借金」の申し込み状。
「安心してお金を貸しても大丈夫」と判断するのは、「定期的な収入が保証されているかどうか」。
すなわち、「会社に勤めているかどうか」ということが判断基準になるそうです。
カードを作るなら、会社を辞める前!
すぐオレは仕事を辞めるぜ!ってわけにはいかないんですね・・・・・
国による「懲罰」まであった!
退職すると会社の厚生年金から国民年金の保険料を払うことになります。
失業保険を受け取るには、再就職のために職安で就職活動している証明が必要になります。
稲垣さんみたいに「もう就職しない」場合は、失業保険を受け取ることもできません。
そして、稲垣さんが辞めた年のクリスマスにビックサプライズが待ち受けていました。
クリスマス最大のハイライト。それは税金の説明だったのです。
いや~、これは想定外!!なんと、退職金の7分の1をお国及び地方が持って行くことが判明!
いや~、「鼻から牛乳」って言葉が生まれて初めてリアルに頭をよぎりましたよ!
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その4 日本ってば「会社社会」だった!)
想定外の様々な問題。
稲垣さんはこのように感じます。
日本国が成り立ってるのは「会社」があるからなんだ。
いかに無職で生きることの難しさを痛感させられます。
FIREを考えている人は要注意です!!
例えば、厚生年金は年々上がっていますが、これは日本が「会社社会」だから上げやすいのでは?と思ってしまいますね。
会社依存度を下げる
稲垣さんは会社員としての28年間を振り返ってみると、
- 社員が懸命に働く原動力は「カネ」と「人事」
- 日本社会が会社社会であるとすれば、すでに日本そのものがブラック化しているのかもしれない
と感じたそうです。
なんだか、暗くなってしまいますね・・・・
稲垣さんが提案するのは「会社依存度」を下げること。
私が提案したいのは、ほんの少しでもいいから、自分の中の「会社依存度」を下げることだ。要は「カネ」と「人事」に振り回されないことである。
~中略~
何も副業せよと言っているのではない。生活を点検し、自分に本当に必要なものを改めて見直してみる。お金をかけない楽しみを見つけてみる。そうして今よりほんの少しでも支出を抑えることができれば、使わないお金がわずかでも着実にたまっていくかもしれない。それだけでも、会社に対しての「構え」が違ってくるのではないだろうか。
引用:魂の退社 会社を辞めるということ。(その5 ブラック社員が作るニッポン)
まとめ、書評
以上、「魂の退社 会社を辞めるということ。」から学んだことを、
①転機はうどん県
②世の中は「会社で回っている」
③会社依存度を下げる
3点紹介しました。
何といっても、稲垣さんの文章力の凄さ。とにかく面白い!
その面白さが伝わるよう、このブログでもいつも以上に引用を使わさせていただきました。
この本で、感銘を受けた言葉があります。
仕事とは本来、人を満足させ喜ばせることのできる素晴らしい行為である。
会社依存度が高いとつい「カネ」と「人事」に振り回され、大事なことを忘れがちになります。
会社依存度を下げ、自分の本当に必要なものを見直すことが大切だとこの本から学びました。
早期退職すると発生する色々な問題も参考になります。
とっておきの1冊ですので、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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