もくまおうです!
今回は、残念ながら今年1月にお亡くなりになられた経済評論家の山崎元さん(以下ヤマゲンさん)の「経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて」を紹介します。
この本は、元々ヤマゲンさんの息子さんが2023年春に大学に合格されたときに送った手紙が元になっています。
闘病中、若い人たちに向けたメッセージとして加筆したものです。
「経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて」から学んだことを3点紹介すると、
①お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
②株式投資の正確な意味を知る
③小さな幸福論
になります。
お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
ヤマゲンさんは、はじめに自分が働いて稼ぐ方法として、
- 自分で起業する
- 早い段階で企業に参加する
- 報酬の大きな部分を自社株ないし自社株のストックオプションで支払ってくれる会社で働く
- 企業の初期段階で出資させてもらう
と紹介しています。
そして、お金の増やし方としては、
- 生活費の3~6か月分を銀行の普通預金に取り分ける。残りを「運用資金」とする
- 運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する
- 運用資金に回せるお金が増えたら同じものに追加投資する。お金が必要な事態が生じたら、必要なだけ部分解約してお金を使う
としています。
ヤマゲンさんがオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式オールカントリーの愛称)を薦めているのは有名ですよね!
僕は、これ以上にヤマゲンさんが言う「資本主義の仕組み」を理解することがとても大事だと思っています。
あらかじめ結論を言っておくと、資本主義経済は、リスクを取りたくない人間から、リスクを取ってもいい人間が利益を吸い上げるようにできている。この点がよく分かったことは、今回この本を書いてみたことによる、父の個人的収穫であった。
そして、利益を吸い上げる際に介在するのが「資本」であり、資本に参加する手段が現代では「株式」だ。一度スッキリ分かっておくと、働く上でも、投資をする上でも、見通しが良くなるはずだ。
引用:経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて(第二章お金の増やし方と資本主義経済の仕組み)
僕は、この「資本主義の仕組み」を学んだことにより、会社に対する考え方が大きく変わりました。
株式投資の正確な意味を知る
資本主義経済は、「適度なリスクを取る者」にとって有利にできている
このヤマゲンさんの言葉を理解するために、本の内容にそって深堀りしていきます。
まず、「会社」が行う生産とは「資本」と「労働」によって行われています。
資本は、ビジネスの元手となる財源の総称です。
- 銀行や支払いを猶予してくれる売り手などからのか「借り入れ」である他人資本
- 株式を通じて所有権のある自己資本
の2種類が存在します。
例えば、労働者が1日2万円の利益に相当する生産に関わっており、会社が支払う賃金は1万円だとすると、資本は1万円相当の利益が貯まります。
1万円相当の利益は、
- 銀行からの借り入れに対する利息や返済
- 残りは株式を通じて資本家のもの
に分かれます。
会社は資本設備を増やしながら、このような条件での労働者の雇用を拡大し、会社は規模を大きくして、利益を拡大します。
そして、資本家も利益が拡大する仕組みとなっているのです。
リスクを取りたくない労働者が安い賃金で我慢する
先ほどの、2万円の資産に対し、1万円しかもらわない労働者は、安定した雇用と安定した賃金を求めています。
ヤマゲンさんはこう言います。
安定(=リスクを取らないこと)と引き換えに、そこそこの賃金で満足する。合意の上の契約だ。彼らこそが、世界の養分であり経済の利益の源なのだ。
世の中は、リスクを取りたくない人が、リスクを取ってもいいと思う人に利益を提供するようにできている。
引用:経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて(第二章お金の増やし方と資本主義経済の仕組み リスクを取りたくない労働者が安い賃金で我慢する)
会社は、安定(=リスクを取らないこと)を求める労働者が他にもたくさんいれば、「取り換え可能な労働者」を選ぶ選択肢があります。
働く側から見れば、自分自身が「取り換え可能な労働者」にならないよう工夫することが大事と言えます。
株式投資することの意味
これまでの説明をまとめると、
- 「生産」には「労働」とともに「資本」が必要
- 株式投資は自分のお金を資本として提供して「働かせる」ことであり、リスクを負担している
になります。
株式投資は、決して働かずに儲けようとする行為ではありません。
ヤマゲンさんは、株式投資の目的を一言でまとめると、「リスクプレミアムのコレクション」と説明しています。
ヤマゲンさんは以前、「工夫のない労働者はカモられて当たり前」だとおっしゃっていました。
決して労働者を批判しているのではありません。工夫のない労働者は損をしてしまうことを教えてくれました。
小さな幸福論
ヤマゲンさんは幸せを感じる決定要素は、実は一つだけだと説明しています。
父はこの問題に暫定的な結論を得た。人の幸福感はほとんど100%が「自分が承認されているという感覚」(「自己承認感」としておこう)でできている。そのように思う。
引用:経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて(終章 小さな幸福論)
しかし、自己承認感には他人との比較に陥りやすいという問題もかかえます。
この問題にどう対処すれば良いでしょうか?
「2割増しの自由」を複数組み合わせる
他人の価値観の影響を受けるからといって、他人に合わせたり、他人の言いなりになる必要はありません。
ヤマゲンさんは、あれこれについて、他人よりも2割増しくらいを目標に自由を拡大することを薦めています。
働き方、家族関係、時間の使い方、恋愛、交友関係など、対象は何でも構いません。
様々なことを、1つひとつは2割増しに過ぎなくても、「2割増し」を複数組み合わせると、あたかも掛け算のように自由の範囲が広がり、面白い人間ができあがります。
「2割増しの自由」を複数組み合わせることは、投資で言う「複利」にとても似ていると思いました!
様々なことを少しずつ広げていけば、人生の財産が複利のように増えていきますね!
モテない男は幸せそうに見えない
ヤマゲンさんは幸せについて、いくつかの「基準」の組み合わせを試して考えた時、「モテ具合」が妙に重要らしいことが分かったそうです。
経験や自由はお金で買えます。
名声もお金で買えないことはなく、ある種の人間関係もお金で買えないわけではありません。
しかし、モテる状態をお金で買うことは難しく、有名人や成功者でも、モテない人は性格が歪んでしまったとヤマゲンさんは言います。
モテるためには、
- 自分語りをやめる
- 心からの興味を示し、相手の話を熱心に聞く
ことが大切だと紹介していました。
まとめ、書評
以上、「経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて」から学んだことを、
①お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
②株式投資の正確な意味を知る
③小さな幸福論
の3点紹介しました。
経済評論家として、「資本主義」や「株式投資」について紹介しているだけではありません。
③の小さな幸福論のように、ヤマゲンさんの人生の結論が散りばめられていました。
この本の結論として息子さんに対して、
「モテる男になれ。友達を大切にせよ。上機嫌で暮らせ!」
と述べています。
実に、ヤマゲンさんらしくていいなと思いながら、その後にある息子さんへの手紙全文は目頭が熱くなります。
僕たちの心にいつまでも刻まれる名著となりました。
心より感謝とご冥福をお祈り申し上げます。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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