犯罪心理学者である出口保行さんが、1万人を超える犯罪者・非行少年の心理分析を行った経験をもとにした本、「犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉」から学んだことを3点紹介します。
驚いたのが、どの親でも言ってしまいそうな言葉が実は「危ない一言」だったことです。
「犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉」から学んだことを3点紹介すると、
①「みんな仲良く」がダメな理由
②「早くしなさい」がダメな理由
③「気をつけて!」がダメな理由
の3点になります。
「みんな仲良く」がダメな理由
本では、悪い友人の誘いを断れず、万引きをしてしまった少年のケースを紹介しています。
この少年の両親は「みんな仲良くね」と少年に言い続け「協調性が大事」という価値観を持っていました。
この価値観自体が悪いわけではありません。
では、何がいけなかったのでしょうか?
両親は、すべてにおいて協調性を優先し、少年の気持ちを聞けなかったのが原因でした。
少年は、実は小学校のときに、サッカーチームでおそろいのユニフォームを作りたいと両親に話したところ、「出しゃばらんくてもいいんじゃんじゃない」と言われたのがきっかけで自己主張ができなくなりました。
中学校では部活動で意地悪をされ、学校にも行かなくなります。意地悪されて嫌いな人がいることを両親にも言えませんでした。
「普通の子がなぜそんな非行を」とまわりは驚いたのではないでしょうか。でも、自己主張することを許されずに、周囲の反応をうかがいながら生活している子は、自己決定する力が弱いのです。人に合わせることは得意でも、人に批判的に見ることができないので、「これは悪いことだからやめておこう」という判断もできなかったのです。
引用:犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉(「みんな仲良く」のウラにあるもの)
「みんな仲良く」のウラにあるもの
「仲良くしなさい」の裏側には、トラブルが起きたら面倒くさいことになる、だから仲良くしてほしいといういった大人側に都合が隠れています。
本当は「仲良くしなさい」ではなく、
- 合わせる人に合わせ必要がないし、仲良くする必要もない
- 仲良くできない、どうすればいいのかを考えようと言うスタンスで話を聞く
ことが重要でした。
先ほどのケースなら、ユニフォームの提案があったとき、
「そうしてそう思うの?」と考えを聞いたうえで、「お父さんやお母さんは、周りの人のいけんがどうなのかが気になるんだ」など、親の考えも話せばよかったと出口さんは説明しています。
ここで大事なのは、親が指示するのではなく、本人が考えることです。
本人が考えることで、嫌いな人とどう付き合うか「心理的距離の取り方」を学ぶことができます。

僕自身も、このケースと似ていて小中学校時代を思い出してしまいました。
本当に自分自身を出せるようになったのは、つい最近のことです。(本のおかげです!)
本当の自分を引き出してあげるには、傾聴が大事だと気づかされます。
※傾聴に関しては、安達裕哉さんの「頭のいい人が話す前に考えていること」がとても参考になります。

「早くしなさい」がダメな理由
次は、同棲中の彼氏がギャンブルで借金し、勤務する会社のお金300万円を横領してしまった女性のケースです。
女性自身、業務上横領が犯罪であることは分かっています。
しかし、事前予知能力が育っていないため、極端に現在を優先してしまいました。
「いまが良ければそれでいい」と行動してしまったのです。
女性の両親は小さな鮮魚店を営んでおり、父親は常に「早くしなさい」、「次はこれをしなさい」と指示していました。
母親は自分に火の粉が降りかからないように見て見ぬふりをしていました。
つい親は、
- 「早くしなさい」
- 「さっさと片づけなさい」
- 「いい加減、支度しなさい」
などを言ってしまいます。
しかし、このようなことを言っても、実は小さい子どもはみな事前予知能力が育っていないから、なぜ急がなければいけないのかわからないのです。

小さい子どもは事前予知能力が育っていないから急ぐ理由がわからない
これを読んだときは衝撃的でした。
予知能力は生まれながら持っているのではなく、発達の中で身につく
出口さんはこのように説明しています。
事前能力は生まれながらに持っているのではなく、発達の中で身につくものです。親は「急がないと学校に遅刻してしまう」「約束の時間に間に合わなくなってしまう」と必要性を理解しているわけですが、子どもには難しいのです。
引用:犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉(「早くしなさい」はなぜダメなのか)
- 「学校まで歩いて15分かかるから、8時には出ないと朝の会に間に合わないよね」
- 「8時に家を出るためには、どうしたらいいかな」
など、早くするべき理由を伝えて、考えさせる「事前予見能力のトレーニング」が必要になります。
先ほどのケースは、父親が早くするべき理由を説明しなかったのが良くなかったと言えます。
- 「いつも16時くらいからお客さんが増えて忙しくなるから、その前にこれを終わらせてほしい」
- 「足りなくなると困るから、早めに発注してほしい。発注して届くまで2~3日かかる場合があるんだ」
など、急いでほしい理由を説明すべきでした。
このように事前予知能力を育てるためには、日常の中で「逆算して考える」ことをさせることが重要です。
「気をつけて!」がダメな理由
3点目は、複数の高齢者に対し投資詐欺をしてしまった女性のケースです。
この女性は逮捕された当初、
- とくに悪いことをしたとは思っていない
- うまい話に簡単に乗る方がどうかしている
と思っていました。
しかし、少年院での面接や更生プログラムによって、被害者は内緒の話を持ち掛けかけてくれて嬉しかったのに裏切ってしまったど被害者の気持ちに寄り添うようになったそうです。
この女性は、両親がレストランを経営していて忙しく、両親の代わりに面倒を見てくれた祖母がいました。祖母は何でも先回りして失敗させないように動き、子どもだけで遊ぶことを禁じていました。
いわゆる過保護・過干渉によって共感性が育つ機会が奪われていました。
あえて失敗させてあげる
「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです。
引用:犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉(「気をつけて!」がダメな理由)
実は、本当に子どものためを思ったら、あえて失敗させてあげることが大切なのです。
そして、1点目に紹介した内容と同様に、本人に考えさせてあげることが重要です。

僕も失敗は大事だとよく子どもに言っていますが、ついつい制止してしまうことがあります・・・
親が失敗させる勇気を持つことも重要だと痛感しました。
言い訳を聞いてあげる
投資詐欺をした女性のケースは、騙される方が悪い、お金に目をくらんだからいけないなど、悪く言えば『言い訳』をしていました。

心理学ではこのような理屈をつけることを「合理化」と言うそうです。
出口さんは『言い訳』を聞いてあげることが大切だと説明しています。
悪いことをした子供に叱るときも、まずは言い訳を聞いてあげることが大切です。子どもの言い訳は、自分の心を落ち着かせるためにやっていることが多いです。合理化をさせてあげることは、その子の心を守るために重要なのです。そして、とことん言い訳をすれば、自分で矛盾を感じるようなります。これが重要です。自分で気づいて、先に進めるようになります。
引用:犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉(私は悪くないー合理化の心理)

つい、言い訳するなと正論を言ってしまうのが親。
しかし、正論より大切なのは子どもの本当に気持ちを聞いてあげることなんですね。
まとめ、書評
以上、「犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉」から学んだことを
①「みんな仲良く」がダメな理由
②「早くしなさい」がダメな理由
③「気をつけて!」がダメな理由
の3点紹介しました。
「子育てって本当に難しいな」というのが率直な感想です。
子どもとどう向き合えばいいんだろう?って悩む中、この本で感銘を受けたことを最後に2つ紹介します。
それは、
- 短所をひっくり返せば長所になる
- ダメ出ししてしまったらフォローをすれば個性を引き出せる
です。
「先のことを考えず行動するんだから」→「パッと決められるからすごいね」
「やることなすこと全部遅い」→「慎重に考えながら行動できるのがいいところだね」
といった風に、短所だと思っていることを長所に言い換えれば、ポジティブな見方ができるようになります。
そして、
「また新しいことやりたいの?どうせ続かないじゃないの!」
とつい怒ってしまった場合、すかさず
「でも、そうやって次々によく見つけてくるね。いろいろなことに興味持てていいね」
と長所への言い換えをします。
ダメ出しをしてまったら、フォローをしてあげる
これだけで大きな差が出るそうです。

この2つはぜひ忘れないようにしたいですね!
最後までご覧いただきありがとうございました!
※子育て本では、佐々木正美著「この子はこの子のままでいいと思える本」もとても参考になりました。こちらもぜひご覧ください!

コメント