もくまおうです。
投資をやっている方ならご存じ、人気エコノミストのエミン・ユルマズさんとプロポーカープレーヤーで投資もしている木原直哉さん。
2人が『「確立思考」で市場を制する最強の投資術』という本を出版しました。
この本、はっきり言ってすごいです!
以前紹介した清原達郎さんの「わが投資術 市場は誰に微笑むか」に匹敵するほどの衝撃を受けました。
インデックス投資をやられている方(僕もインデックス投資がメインです)にも通じる内容です。
『「確立思考」で市場を制する最強の投資術』から学んだことを3点紹介すると、
①リスク管理が重要である
②プレーすればするほど負ける
③ストーリーに沿った意思決定が求められる
の3点になります。
リスク管理が重要である
ポーカーと言えばギャンブルで投機。
よく投資とは違うと比較されがちですが、実はポーカーと投資は共通している点が多いそうです。
ポーカーのリスクについて、木原さんがこのように紹介しています。
ポーカーでは、テーブル選びでリスクを選択します。テーブルに座ってしまったら、その場では最大のリスクを取ってプレーするのが基本です。株式投資なら、ある銘柄に100万円投資してそれが80万円や50万円になることはあってもゼロになることはほぼありませんが、ポーカーではテーブルに置いたチップは常にゼロになる前提でプレーする必要があります。ポーカーではレートの高いテーブルにいるような強い対戦相手に対して、リスクを抑えた中途半端なプレーをしても勝てません。
引用:「確立思考」で市場を制する最強の投資術(株とポーカーの共通点③リスク管理が重要である)
株式投資も同じようにリスクがあります。
しかし、ポーカーとは違いコントロールがしやすいのが特徴です。
投資金額もコントロールできますし、銘柄選びや分散、レバレッジの有無もできますよね!
木原さんは、株式投資に関しては、損切りのルールを徹底するより、損切りしなくていい金額に抑えて投資しているそうです。
株価は、購入した企業の株とは関係ない理由で下落したりします。
そこは、損切りではなく追加で買うポイントになります。
どうしても損切りしなければならない状況に追い込まれたら、それは単純に投資金額が高すぎるのです。
せっかく、コントロールしやすい株式投資なのに、リスクを負いすぎて損したら勿体ない!
名著「投資で大切な20の教え」でも、リスクをコントロールすることの重要性を説いているように、リスク管理は重要だと改めて感じました。
プレーすればするほど負ける
エミンさんは、1992年から2006年までのデイトレーダーの取引を分析した台湾の論文について紹介しています。
この論文によれば、取引をした45万人のデイトレーダーのうち、利益を出しているのはわずか4000人だというのです。
デイトレーダーは毎日相場に張り付いて取引しますが、実はそういう人ほどお金を減らしやすいと言うことが分かります。
ポーカーでも、プレーをすればするほどほとんどの人が負けると木原さんは説明しています。
それは、回数を重ねるほどに運の要素が相対的に小さくなるからです。
エミンさんはこう言います。
投資でも同じで、遊びではなく利益を出したいのなら、トレードをし過ぎてはだめです。勝てない投資家の最大の間違いは、ポジションを取りすぎることなんですよ。
引用:「確立思考」で市場を制する最強の投資術(株とポーカーの共通点⑤プレーすればするほど負ける)
インデックス投資も最適解
新NISAでも米国のS&P500や全世界株式に連動したインデックス投資が人気を集めています。
インデックス投資でも様々な名著がありますが、共通しているのは、長期・分散・低コストのインデックスファンドに投資し、あとは何もしないことです。
つまり、インデックス投資は、「プレーすればするほど負ける」とは正反対の行動であり、最適解のひとつと言えます。
木原さんはこのように言います。
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドに突っ込んで、あとは余計なプレーをしないことは多くの人にとって最適解のひとつだと思います。株や投資が好きな人は別ですけど、多くの人は興味も時間もありませんから。
引用:「確立思考」で市場を制する最強の投資術(株とポーカーの共通点⑤プレーすればするほど負ける)
ストーリーに沿った意思決定が求められる
エミンさんの株式投資は、株価が上がるまでのストーリーを描く「ストーリー投資」だと言います。
ストーリー投資とはどのような投資でしょうか?
たとえば、近所にオープンした飲食店をとても気に入り、実は上場企業が展開する新事業だったとします。この飲食店が大ヒットして多店舗展開することで業績を押し上げ、株価が上昇します。
「思い描いた成長ストーリーが継続している間は保有を続け、成長ストーリーに陰りが見えたら手放す」
というのがストーリー投資です。
木原さんは、ポーカーの場合は相手の配られたハンドは分かりませんが、相手のプレーを見ているとどんなハンドを持っているかある程度絞り込めると言います。
ストーリー投資の例
木原さんは、本では実際短期的なストーリー投資として卵を販売しているホクリョウ(証券コード1384)を紹介しています。
2023年卵の価格が高騰しました。
ホクリョウは、2023年4~6月の決算が好調でした。
1キロ当たり200前後の卵の卸売価格が350円まで高騰し、数量が3割減でも価格が75%増だったためです。
7月~9月でも300台前後で動いていたので次の四半期も好業績が出ると思い、決算跨ぎで投資して的中します。
しかし、秋以降は卵の卸売価格がかなり下がっていたので、決算発表で株価が上がって翌日にすべて売却しました。
24年以降は高騰前までに急落したので、5月に出てくる決算はかなり悪い
そこまで予測できたそうです。
小型株を買う
エミンさんも木原さんも共通しているのは小型株を買っていることです。
大企業の場合、プロが常にウォッチしているので何かあれば株価に織り込まれます。
小さい企業なら主要なビジネスがひとつしかない場合、業績を推測しやすいというメリットがあり、ストーリー投資が描きやすいのです。
大型株でもストーリー投資はできなくはない
エミンさんは、以前超大型株のソニーを推していました。
理由は、当時のネットフリックスとの比較です。
ソニーは様々な事業を展開していますが、エンターテイメント事業の規模だけで当時のネットフリックスと同じくらいの規模がありました。
しかし、時価総額を比較するとソニーはネットフリックスの5分の1くらいしか時価総額がなく、あり得ない割安だとエミンさんは考えました。
その後ソニーの株価は3倍になったそうです。
僕は、PER、PBR、増配、営業利益など業績のみを見ていました。
でも、それはミクロだったんですね・・・・
もっとマクロ的に見て、ストーリー投資をすべきだと痛感させられました。
まとめ、書評
以上、『「確立思考」で市場を制する最強の投資術』から学んだことを、
①リスク管理が重要である
②プレーすればするほど負ける
③ストーリーに沿った意思決定が求められる
の3点紹介しました。
①、②は株式投資の基本、③は応用と言える内容だと思います。
正直3点だけではこの本の凄さが伝わったかは微妙なところです。
それくらい、個別株の買い方の概念が変わります。
本では、おすすめの企業も紹介しているので、興味を持った方はぜひご覧ください!
インデックス投資は最適解という木原さんの言葉もある通り、決して個別株推奨ではないという点も素晴らしいです。
エミンさんもポーカーが好きで、エミンさんも木原さんも株の方がポーカーより難易度が低いと言います。
エミンさんはこう述べています。
株式投資は歴史的に見れば平均して年10%ほどの上昇を続けていて、常に富が作られ続けています。好不況の波や様々な要因の影響を受けるにしても、シンプルな投資をしていれば株でそこそこ勝つのはそんなに難しくない。
引用:「確立思考」で市場を制する最強の投資術(株とポーカーの共通点⑤プレーすればするほど負ける)
株とポーカーは共通点はあるものの、やはり株の方はポーカーより勝ちやすく、いかに恵まれているかを知ることができました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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